トップ > レポート・コラム >  DODA転職求人倍率レポート(2012年4月発行版)

2012年3月の求人倍率は1.23倍。求人数、転職希望者数は前年同時期の120%

2012年3月の求人倍率は1.23倍で、2011年12月の1.36倍をピークに低下。年度末に向けて採用活動を収束させる企業が多かった反面、4月入社を目指す転職希望者は増加したことが背景にあります。 一方、全体の求人数・転職希望者数は、どちらも前年同時期の約120%で推移しており、人材流動が活発化していることがうかがえます。

企業の動向に着目すると、人材の多くを新卒で担保する大手の金融・商社・メーカーなどは、年度末からゴールデンウィーク明けまで新卒採用に注力します。そのため、人事が中途採用に手を割けず、新規求人を積極的に出さない企業が現れます。今年は特にそうした動きが顕著で、(1)新卒の採用人数が増えた、(2)就職協定により4月から一斉に始まる採用活動の準備が2〜3月に集中した、などの要因が考えられます。ただし5月下旬〜6月頃からは、大手メーカーを中心に50〜100名規模の採用が始まる見通しです。また、年間の採用スケジュールに沿って数百名単位のMR(医薬情報担当者)を募集する製薬メーカーやCSO(医薬品販売受託機関)も、2月末で採用活動をほぼ停止。採用活動の再開は夏以降になると予想されます。

一方、景気回復や需要拡大により、即戦力人材を中途採用で確保する業種も見られます。企業の販促活動が活発になり、ソーシャルメディアやスマートフォンなど新たな広告展開のニーズが高まるメディア。消費者の購買意欲の高まりや海外展開に乗り出す企業が増えた小売・外食。震災の復興需要による影響を色濃く受けている建築・土木系。これらの業職種は、3月の求人倍率が2008年1月以降で最高値となっています。また、以前から採用活動が活発なITも、スマートフォンやSNSの需要拡大により引き続き活況です。

業種別の転職市場動向

3月の求人倍率は、9業種中6業種が前月から上昇。求人倍率は「メディカル」が最も高く2.11倍ですが、前月比では最も低下(-0.82)しています。次いで求人倍率の高い「IT/通信/インターネット(2.05倍)は、前月比で最も上昇(+0.13)し、メディカルに大きく近づいています。

業種別の転職求人倍率
業種 2012年
1月 2月 3月
求人倍率 前月差 求人倍率 前月差 求人倍率 前月差
全体 1.28 ▲ 0.08 1.23 ▲ 0.05 1.23 0.00
IT/通信/インターネット 1.89 0.05 1.92 0.03 2.05 0.13
メディア 1.00 0.11 1.02 0.02 1.07 0.05
金融 0.73 ▲ 0.09 0.68 ▲ 0.05 0.67 ▲ 0.01
メディカル 3.15 ▲ 0.06 2.93 ▲ 0.22 2.11 ▲ 0.82
メーカー 1.17 ▲ 0.13 1.10 ▲ 0.07 1.09 ▲ 0.01
商社/流通 0.31 ▲ 0.04 0.30 ▲ 0.01 0.31 0.01
小売/外食 0.70 ▲ 0.06 0.67 ▲ 0.03 0.78 0.11
サービス 1.31 ▲ 0.09 1.30 ▲ 0.01 1.39 0.09
その他 0.47 ▲ 0.06 0.49 0.02 0.50 0.01

※「転職求人倍率」は小数第三位を四捨五入。また、「転職求人倍率」の除数となる転職希望者数の業種(職種)については、希望業種(職種)ではなく直近の経験業種(職種)に準じている。

職種別の転職市場動向

3月の求人倍率は、11職種中9職種で上昇。「技術系(メディカル)」(-1.29)と、「技術系(電気/電子/機械)」(-0.03)が低下しています。3年3カ月にわたり求人倍率トップを維持していた「技術系(メディカル)」(2.16倍)が大きく低下したことで、「技術系(IT/通信)」(2.18倍)がトップに入れ替わりました。また、前月比で最も上昇しているのは「技術系(建築/土木)」(+0.20)で、震災の復興需要の影響が色濃く出ています。

職種別の転職求人倍率
職種 2012年
1月 2月 3月
求人倍率 前月差 求人倍率 前月差 求人倍率 前月差
全体 1.28 ▲ 0.08 1.23 ▲ 0.05 1.23 0.00
営業系 1.08 ▲ 0.12 1.03 ▲ 0.05 1.05 0.02
企画・事務系 0.76 ▲ 0.05 0.74 ▲ 0.02 0.75 0.01
技術系(IT/通信) 2.00 0.14 2.11 0.11 2.18 0.07
技術系(電気/電子/機械) 2.23 ▲ 0.20 2.04 ▲ 0.19 2.01 ▲ 0.03
技術系(メディカル) 3.54 0.12 3.45 ▲ 0.09 2.16 ▲ 1.29
技術系(化学/食品) 1.12 0.01 0.97 ▲ 0.15 1.02 0.05
技術系(建築/土木) 1.65 0.11 1.55 ▲ 0.10 1.75 0.20
専門職系(コンサルタント/金融/不動産) 1.31 ▲ 0.06 1.27 ▲ 0.04 1.33 0.06
クリエイティブ系 1.29 ▲ 0.05 1.32 0.03 1.45 0.13
販売・サービス系 0.51 ▲ 0.12 0.49 ▲ 0.02 0.56 0.07
事務・アシスタント系 0.70 ▲ 0.14 0.70 0.00 0.75 0.05

※「転職求人倍率」は小数第三位を四捨五入。また、「転職求人倍率」の除数となる転職希望者数の業種(職種)については、希望業種(職種)ではなく直近の経験業種(職種)に準じている。

DODA編集長の解説

2012年は企業・転職希望者ともに、「攻め」の年になるでしょう。欧州の金融危機や円高に収束の目処が立ち、先行きに明るさが見え始めた企業は、新製品・新サービスの開発や販促活動を活発化。採用ニーズも高まり、2012年1〜3月の求人数は3年前の約1.5倍で推移しています。また、新たな戦力や視点を社内に取り入れるため、経験やスキルだけでなく、ポテンシャルや将来性の高さを重視する採用も増加。転職希望者も、経験を活かした同業種・同職種への転職だけでなく、今までのキャリアを応用できる異業種・異職種へ転職するチャンスが広がるでしょう。こうしたチャンスを掴むためには、「自分のスキルはここで活かせるはず」と限定してしまうのは禁物。今までの経験で培ってきたスキルを分解し、「この能力は○○に応用できる」と自己分析することが重要です。

また、一昨年から急速にニーズが伸びているグローバル人材の採用はさらに加速する見込み。メーカーや商社だけでなく、外食やサービス業など、内需中心だった産業も海外展開に乗り出しており、企業では外国人留学生や帰国子女など、グローバル人材の確保に力を入れています。中途採用においても、高い語学力や海外で通用する専門スキルを有していることが、採用の絶対条件になる日も遠くないでしょう。

今後、夏場にかけては、電力供給不足による生産活動の縮小が懸念されています。注目される新エネルギービジネスについては、未だ消費者ニーズが追いつかず、ビジネスとして成立し採用ニーズが高まるのは、来年以降になるでしょう。一方、オリンピックによる経済効果は、一時的に求人倍率へもプラスに働く可能性があります。 (DODA編集長 美濃啓貴)

転職求人倍率の定義

「転職求人倍率」は、DODA転職支援サービス登録者1名に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値。算出式は以下の通りとなる。

転職求人倍率 = 求人数(採用予定人員)÷ 転職希望者数

【求人数】前月からの繰越求人数(採用予定人員)と、当月中に新たに登録された新規求人数(採用予定人員)を合算した数で算出。
【転職希望者数】前月からDODA転職支援サービスに継続登録している繰越登録者数と、当月中に新たに登録した新規登録者数を合算した数で算出。ただし、繰越登録者数に関しては、直近半年以内の登録者数を採用している。

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